イラク戦争開始から10年たって特集記事が多いですね。

5年の時はこんな記事がありました。<イラク開戦5年>最新ルポ 要塞化するバグダッド…敵意の海に孤立

で、10年後ですが、ルポっぽいのが多くてまとめるのは難しそうですが、まずは全体の俯瞰という事で。

イラク戦争から10年、民間人の犠牲11万6000人 米報告
イラクの首都バグダッドで14日に起きた連続爆弾攻撃で、旧米軍管轄区域グリーンゾーン近くの官庁ビルから上がる黒煙。少なくとも18人が死亡した(2013年3月14日撮影)。

【AFP=時事】2003年3月に開戦したイラク戦争では、2011年の米軍撤退までにイラク民間人11万6000人と多国籍軍兵士4800人が犠牲となったことが、15日発表された米大教授らの報告書で明らかになった。

イラクでシリア兵士襲撃され48人死亡内戦が隣国に飛び火

 また、イラク介入に伴う米国の財政負担は既に8100億ドル(約78兆円)に上っているが、最終的には3兆ドル(約288兆円)に達する見込みだという。

 報告書は、イラク開戦10周年を機に米タフツ大学(Tufts University)医学部のバリー・レビー(Barry Levy)教授とアルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)のビクター・シデル(Victor Sidel)教授が、各専門誌で発表された研究結果や政府・国際機関の報告書、ニュース記事などからイラク戦争のコストや人的被害をまとめ、英医学専門誌ランセット(The Lancet)に発表したもの。

 それによると、2003年〜11年の8年間に死亡した非戦闘員のイラク人は、少なくとも11万6903人に上った。さらに、医療関連設備が破壊されたことで多くのイラク民間人がけがや病気を悪化させる結果となったほか、500万人が住む家を失ったという。

 米軍側の被害としては、3万1000人以上の米兵がイラクで負傷し、派兵された兵士のうちの相当数がPTSD心的外傷後ストレス障害)や外傷性脳損傷神経心理学的障害や社会生活への不適応といった問題に苦しんでいると指摘している。【翻訳編集】 AFPBB News

以前はこういう記事がありました。
死者22万人、支出186兆円に=アフガン・イラク戦争…米研究者グループ
テロなどはまだ収まっていないという事です。

イラク開戦10年:続くテロ、シーア派聖廟周辺いまも厳戒

毎日新聞 2013年03月20日 23時38分(最終更新 03月21日 00時16分)


イラクの首都バグダッド・カドミヤ地区のイスラムシーア派聖廟。19日の連続爆発事件の影響で、モスク前の人通りは普段のわずか「1、2割」(地元の人)だった=2013年3月19日、秋山信一撮影


カドミヤ地区

 【バグダッド小倉孝保、秋山信一】死傷者250人以上を出したバグダッドの多発爆弾テロ現場の一つカドミヤ地区を19日夜(日本時間20日未明)、訪れた。普段夜中まで参拝客で混雑するイスラムシーア派の聖廟(せいびょう)周辺は閑散としていた。イラク戦争開戦から20日で10年。市民は続くテロに怒りを強める。

 カドミヤ地区のシーア派聖廟近くには礼拝者用の大型駐車場が多いが、自動車爆弾を警戒し閉鎖。聖廟に向かう通りの入り口の検問所には過去の爆弾テロで犠牲になった兵士の遺影が掛かっている。

 聖廟への大通りに入っても人影はまばら。チャイ(紅茶)売りのムルタダさん(22)は「人通りは普段の1、2割。商売あがったりさ。何でこんなテロをやるのかさっぱりわからない」と嘆いた。

 カドミヤ地区にあるのはバグダッドで最も有名なシーア派聖廟で、フセイン政権崩壊(03年4月)後、イランからも巡礼に訪れる人が多い。聖廟前通りの両側には飲食店や土産物屋、ホテルが並ぶが、従業員は暇をもてあまし活気はない。

 聖廟の前にも大型検問所があり、携帯電話やカメラの持ち込みは禁止。チェックも厳重だ。治安責任者のウサム・ジェイサニさん(32)は、シーア派地区での連続テロについて、「イラクでは各宗派が長年一緒に暮らしてきた。テロは憎しみをあおりイラクを分裂させようとする過激派の仕業。許せない」と語気を強めた。

 イラクでは4月に地方議会選挙が予定されていたが、政府は19日、安全が確保できないとしてスンニ派が多い北西部2州で選挙を最大6カ月延期すると発表。シーア派閣僚の一部は治安政策に抗議して閣議をボイコットすることを決めた。

 20日、イラクでは特別な行事は行われなかった。市民にとりフセイン政権からの解放に当たる「4月9日」こそ祝うべき日との考えがあるためだ。警官のオマム・ムハンマドさん(33)は言う。「3月20日は侵略された日。記念にはならない」

日本でも運動をしている方がいるそうです。

「イラク市民 今も犠牲」 開戦10年、各地で集会


イラク市民 今も犠牲」 開戦10年、各地で集会

朝日新聞デジタル 3月20日(水)10時15分配信

イラク市民 今も犠牲」

19日夕に開かれた「イラク戦争の10年と日本」を問う集会で発言する志葉玲さん(右)。イラク人ジャーナリストやイラク戦争で息子を亡くした英国人の母らも参加した=東京・永田町、金子淳撮影

 【宮崎園子、仲村和代】イラク戦争が始まって20日で10年。米軍完全撤退から1年以上経ったが、本当に戦争は終わったのか。あの戦争がもたらしたものは何だったのか。今も問いかけ続ける人たちがいる。

 外国資本の石油採掘現場で劣悪な労働条件で働かされ、抗議の声を上げる労働者。テロ対策で造られたコンクリートブロックに囲まれ、周辺地区と遮断されて自由を束縛された市民。

 「イラク平和テレビ局in Japan」(事務局・大阪市)は毎週1本、イラクの人々が直面する現実を映し出す記録映像をネット(http://peacetv.jp)で配信している。

朝日新聞社

和解の動きもあるという事ですが、随分時間がたっているのにまだまだだなという感じです。

<イラク戦争10年>宗派対立、和解の動き

毎日新聞 3月18日(月)2時31分配信


集会で宗派対立の解消を訴えるシーア派指導者のアハマド・クバンチ師。立ち見が出るほど盛況だった=2013年3月15日、秋山信一撮影

 イラクへの米軍侵攻から10年を経て暴力の影は一時期より薄まったが、多数派のシーア、少数派スンニの両派は衝突を続ける。その裏に政治的動機や周辺諸国の思惑があると市民は感じている。対立に人々が疲れを感じる中、和解を訴える宗教指導者も少なくない。【バグダッド小倉孝保、秋山信一】

バグダッドの日常】イラク戦争10年:戻り始めた日常

 争いより尊厳と自由が大事

 首都から米兵の姿は消え、我が物顔で走り回った米軍車両もない。中心部で15日、開かれた金曜青空書籍市。本を求める人で大混雑だ。04年ごろから続発した対米爆弾テロで一時は人が消えたが、96年から店を開くモハマド・ダハシュさん(47)は「治安改善で人出はフセイン政権時代(79〜03年)に戻った」と喜ぶ。

 政権崩壊後の騒乱は当初、反米武装攻撃が主だった。06年2月に中部サマラでイスラムシーア派聖廟(せいびょう)が爆破され宗派対立が激化。09年以降も毎年、5000人前後の民間人が犠牲になっている。

 スンニ派住民の多いバグダッド西部ヤムルーク地区。16日昼、市民約20人がスンニ派イスラム指導者、メヘディ・スマイダエ師を囲んでいた。生活の不安や政府への要望を訴えている。スマイダエ師は強硬反米イスラム指導者だった。テロを指示したとして04年に逮捕され5年間拘束。釈放後シリアに逃れ、11年の米軍撤退後に戻った。

 今は、シーア派との和解を主張する。シーア派聖職者と協力しテロ容疑で逮捕された市民の釈放も求める。「転向」でスンニ過激派から狙われたこともある。それでも、「長年、私たちは共に暮らしてきた。和解は実現できる」と前向きだ。

 スマイダエ師は宗派対立を「米軍が残した混乱」と見る。スンニ派と敵対し、シーア派政治家を重用したためだという。さらに、「イランやトルコが、自国の利益を拡大するためイラクの宗派対立を利用している」と指摘する。

 一方、イスラム社会がより寛容になることで宗派の溝が埋まると訴えているのが、シーア派聖職者のアハマド・クバンチ師だ。バグダッドの文化センターで15日開かれた講演には、共産党支持者やキリスト教徒など、イスラム宗派対立に疲れた市民が詰めかけた。

 「女性がヘジャブ(頭髪を隠すスカーフ)をしないのも自由、酒場を開くのも自由。イスラムが関与すべきではない」と語ると聴衆から拍手が起こった。

 長女と講演を聴きに来た40代の銀行員、レイラ・ムフムードさんは「宗派より、人間の尊厳や自由が大事なはず」と語る。エンジニアだった父親はフセイン政権時代に連行され、理由も明らかにされずに処刑された。旧政権崩壊で「自由になれる」と期待したが、今は「宗教を言い訳にした対立が、市民の自由や尊厳を踏みにじっている」。匿名を条件に取材に応じた大学教授の男性(44)は「市民は過激な宗教思想に嫌気が差している」と話す。男性は「イラクが立ち直るには宗派対立を克服し、国民国家として団結しなければ」と語気を強めた。

 16日、バグダッドのフィルドス広場を歩いた。米軍がフセイン大統領像を引き倒し、政権崩壊を印象付けた場所だ。旧政権崩壊直後、若者たちが建てた自由を象徴する像も政府が撤去し、石の台座が寂しく残る。荒れた広場は、この国が直面する再建の困難さを象徴するかのようだった。

あとは攻撃側の米国すら国民の意見は分かれているようですね。

イラク戦争10年、国民の評価今もなお二分米世論調査

AFP=時事 3月19日(火)16時22分配信

【AFP=時事】米国が主導したイラク戦争から10年が過ぎた今もなお、米国民は戦争の評価をめぐって二分されている。米世論調査会社
ギャラップ(Gallup)が18日、発表した。

米兵の自殺、イラク戦争後に80%増加

 2011年12月に米軍がイラクから撤退して以降初めてとなるギャラップによる調査で、米国人の53%がイラク戦争は間違っていたと回
答し、42%は間違いではなかったと回答した。

 2009年に実施された世論調査とほぼ変わらない結果で、共和党あるいはイラク戦争を始めたジョージ・W・ブッシュGeorge W. Bush
)前米大統領の支持者の間では、イラク戦争に対する支持が強かった。

 共和党を支持する、または、どちらかといえば支持すると返答した人のうち66%は、戦争を間違いではなかったと回答。一方、民主
党支持者では、73%が間違いだったと回答した。

 米国人のイラク戦争反対が最も高まったのは2008年4月で、イラク戦争が間違いだったと回答した人は63%に上っていた。

 ギャラップの調査は7〜10日に1022人を対象に電話で行われた。誤差の範囲はプラスマイナス4%。【翻訳編集】 AFPBB News

で、日本には検証しようにも、当時は情報すらなかったと。

イラク戦争10年 福田元首相「我々に情報はなかった」

朝日新聞デジタル 3月20日(水)5時0分配信

イラク戦争10年 

イラク開戦当時の日米外交について話す福田康夫・元首相=河合博司撮影

 イラク戦争開戦当時、官房長官だった福田康夫元首相が朝日新聞のインタビューに応じ、小泉純一郎首相の開戦支持表明の直前、英
国からブレア首相の議会演説に先駆けて支持を打ち出してほしいと打診されていたことを明らかにした。「イラク大量破壊兵器(W
MD)がある前提」で支持した日本だが、判断材料を得ようにも「手も足もないという感じがした」と日本独自の情報入手ができなか
ったと率直に認めた。

【写真】イラク戦争と検証の動き

 2003年3月20日の米英軍の先制攻撃を前に、当時のブッシュ米大統領が18日(日本時間)にイラクへの最後通告演説をした
。福田氏によると、その頃に英国外交筋が福田氏に「ブレア首相がこの問題で議会演説をする。日本がその前に英米への支持を表明し
てほしい」と要請してきた。

 福田氏は「小泉首相はもうじき(記者団に)ぶら下がりをする。それを見て判断を」と返答したが、「開戦の判断で英国も(世論の
反発で)相当困っていた」との印象を受けたという。結局、小泉氏は直後に「米英が武力行使に踏み切った場合、支持する」とイラク
攻撃支持を打ち出した。

朝日新聞社

まぁやはりまとまりませんでしたが、こんなところで。