リビアの核開発…過去記事から。

新しい情報を追うのは週末に回すとして、過去にピックアップしていた、核関連の記事から。
2004/01
リビアの核技術、パキスタンから カダフィ大佐息子が証言

http://www.sankei.co.jp/news/morning/05int002.htm
資材はアジア「闇市場」一端浮かぶ

 【ロンドン=蔭山実】リビアの核開発計画をめぐり、技術はパキスタンの科学者らから入手し、資材はアジア各国などから購入するという「闇市場」の一端が浮かび上がった。イランでも同様に技術などを入手していたとされ、国際原子力機関IAEA)も闇市場の解明に強い関心を示しており、実態が明らかになればパキスタンへの圧力はさらに強まりそうだ。

 リビアの核開発計画に関する新たな情報は、同国の最高指導者、カダフィ大佐の息子、サイフ・カダフィ氏が四日付の英日曜紙サンデー・タイムズとのインタビューで明らかにした。

 同氏はリビアの核開発計画は核兵器製造が目的だったとの認識を示し、巨額の資金を投入し技術を含めた開発計画をパキスタンの科学者から購入していたことを認めた。また、ウラン濃縮のための遠心分離機を含め、核開発に必要な資材を闇市場から入手していたとし、「闇市場のネットワークを通じブローカー、極秘の工場と取引をしていた」と語った。

 資材はマレーシアなどのアジア各国から調達し、部品などは南アフリカ闇市場から購入。リビアは核開発技術の取得に四千万ドルをかけたとしている。

 カダフィ氏はまた、自力での核能力を保持するため、えりすぐった科学者を英国に派遣して訓練させていたことも明かし、「大量破壊兵器の廃棄に合意した米英との歴史的な取引にはリビア再軍備も含まれ、英国は今後も関与していくことになる」と話した。

2004/02
リビアへの核技術漏えい、マレーシア企業を捜査

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040206id29.htm
 【シンガポール=中津幸久】パキスタン人科学者カーン博士によるリビアなどへの核技術流出に関連し、遠心分離器が製造されたとされるマレーシアの警察当局は6日までに、アブドラ首相の長男カマルディン・アブドラ氏(35)が筆頭株主を務める石油関連企業の子会社スコミ・プレシジョン・エンジニアリング(SCOPE)を捜査していることを明らかにした。

 昨年10月、欧州でリビア向け貨物船から遠心分離器の部品が押収され、容器に社名があったことから疑惑が浮上した。

 調べでは、SCOPE社はスリランカ人のタヒル氏を介し、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイにあるガルフ・テクニカル・インダストリー(GTI)社から1300万リンギット(約3億6000万円)で部品加工の発注を受け、2002年12月から昨年8月の間、部品14個を輸出した。

リビア核施設に日本製部品 IAEA、輸出ルート調査へ

http://www.asahi.com/international/update/0208/002.html
 核計画の廃棄を表明したリビアの核施設から、日本製部品が発見されていたことが7日、明らかになった。国際原子力機関IAEA)関係筋によると、この部品はウラン濃縮関連施設で見つかり、日本語の表示があったIAEAは、パキスタンの科学者を中心とした「核の闇市場」の実態解明を進めている。

 リビアの最高指導者カダフィ大佐は米英両国との秘密交渉の末、昨年12月に核計画の放棄を表明した。米英とIAEAは核関連施設を査察し、施設の廃棄作業を進めている。この過程で日本製部品が見つかった。

 同筋は、部品の形状や機能について詳しい説明を避けた。いつ、どのようなルートでリビアに運び込まれたのか、IAEAは今後、日本政府の協力も得て本格的に調査する方針だ。

 リビアの核開発計画は、英米の情報当局が予想していたレベルより、さらに本格的なものだったとされる。パキスタン核武装を実現した「核開発の父」カーン博士は、リビア北朝鮮、イランへの核技術漏洩(ろうえい)を認めている。

 一方、ロイター通信はウィーンの外交筋の情報として、闇市場」の関連先はドイツ、オランダ、ベルギー、南アフリカ、マレーシア、米国、ロシア、中国などにも広がっていると報じた。
(02/08 08:10)

リビアの核、中国製 米紙報道 パキスタン通じ移転

http://www.sankei.co.jp/news/morning/16int002.htm
 【ワシントン=近藤豊和】米紙ワシントン・ポストは十五日、リビア核兵器計画がもともと中国からパキスタンを通じて移転されたものだったと伝えた。複数の米政府高官の話によるもので、昨年十二月に大量破壊兵器開発を放棄したリビアが米政府に提供した核兵器の設計図や資料などの分析により判明した。

 同紙によると、リビアが先月提出した設計図などに中国語で書かれたものが含まれていた。この中には弾道ミサイルに搭載可能な核兵器を製造するための詳細な中国語の説明文書もあった

 中国からパキスタンへの核技術移転は、「平和目的」として八〇年代以前に行われていた。核兵器は中国が六〇年代に開発したタイプとみられている

 パキスタンの「原爆の父」と呼ばれるカーン博士によるリビアやイラン、北朝鮮などへの核兵器技術拡散の闇ルートは、中国が起点だったことが浮き彫りになった。パキスタンを通じた拡散が裏付けられたことで、今後中国を巻き込む新たな問題に発展する可能性もある。

中国の核技術リビアに 米政府当局者が確認(共同通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040218-00000069-kyodo-int
 【ワシントン17日共同】米政府当局者は17日、パキスタンからリビアへの核拡散に関連し、中国の1970年代の核開発技術が、パキスタンを通じてリビアに流出していたことを明らかにした。

 リビアで見つかった核兵器の設計図など関係資料が中国から提供されていたと報じた米紙の報道を確認した。米国は核開発の完全放棄を表明したリビアから遠心分離機の機材や関連資料を大量に搬出、米国内で分析を進めている

 当局者はまた、大量破壊兵器の拡散問題で今週訪中したボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)に対し、中国側が「拡散防止構想(PSI)の目的と原則を共有する」と表明したと言及。中国はPSIに未加盟国ながら、北朝鮮などへの拡散防止策として進める同構想に協力していく姿勢を確認したことを指摘した。(共同通信)[2月18日10時32分更新]

リビアへの核技術売却、タヒル氏巡り闇のネットワーク

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040221id24.htm
 マレーシアの警察当局によるスリランカ人実業家タヒル氏の捜査は、同氏がパキスタンの科学者カーン博士の「右腕」として築き上げた核の闇市場の深さを浮き彫りにした。

 とくに重要な役割を果たしていたのは欧州の技術者や企業だ。警察当局が20日出した声明などから、タヒル氏を中心とした闇のネットワークを探った。(国際部 相原清、樋口郁子)

 ■訪問者

 昨年11月10日夕。マレーシア国家警察の幹部を、米中央情報局(CIA)と英対外情報部(MI6)の要員が訪ねた。2人は、「タヒル」という名の、マレーシア在住のスリランカ人ビジネスマンが秘密裏に、リビアへの核技術の売却に関与しているという極秘情報をもたらした。

 「米英両政府の最高首脳が、非常に大きな関心を寄せています」――2人の言葉が、事の重大さを物語っていた。

 ■謎のコンサルタント

 その訪問の1か月ほど前の10月4日。

 イタリア南部タラントの港で、ドイツ企業所有の貨物船BBCチャイナが当局の臨検を受けた。見つかったのはコンテナ5個分のリビア向け貨物。ウラン濃縮用の遠心分離器の部品数千点だった。米情報当局の捜査、監視の成果だった。

 これらはマレーシアにあるスコミ社の子会社で造られた。製造を取り仕切ったのは、タヒル氏が送り込んだスイス人コンサルタントのウルス・ティンナー氏(39)だ。英国やドイツの企業から買い付けた工作機械などを持ち込み、技術指導をしていた。

 ティンナー氏の父親は機械技師で1980年代からカーン博士と取引関係にあったという。

 仕事ぶりは徹底した秘密主義だった。部品ができると「企業秘密」を理由に設計図は廃棄。昨年10月にスコミ社を去る際は個人情報の入ったハードディスクまで持ち去ったという。

 子会社の従業員は何の部品を造っているのか最後まで知らなかったようだ。

 ■闇の仲介業者たち

 ウラン濃縮計画を進めていたリビアにも欧州の技術者の影があった。

 リビアは遠心分離器の部品をスペインやイタリアからも調達していたが、これら欧州企業との仲介をしたのが英国人技術者ピーター・グリフィン氏だった。

 同氏もタヒル氏と同様、アラブ首長国連邦のドバイに拠点を持ち、リビア人技術者をスペインで研修させる手配もしていた。

 タヒル氏の供述からは、カーン博士とイランの仲介や南アフリカからリビアへの部品輸出の画策をしたとされる複数のドイツ人技術者の名も浮上している。

 ■旧ソ連も?

 AP通信は21日、カザフスタンアルマトイに、タヒル氏が出資する企業の出先事務所があることがわかったと報じた。

 カザフスタンは世界有数のウラン産出国で、旧ソ連時代には核実験場など多くの核関連施設があった。ヒル氏が高濃縮ウランの入手を図っていた疑いもある。カザフ当局は捜査を始めた。

2007/07
仏とリビア、民生用原子炉の建設協定に署名

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070726id02.htm
 【カイロ=福島利之】フランスのサルコジ大統領は25日、リビアを訪問し、最高指導者カダフィ大佐と会談した。AFP通信によると、両者は民生用の原子炉を建設する協定の覚書に署名した。

 仏政府高官によると、原子炉は海水を淡水化して飲料水として利用する施設のエネルギーとして使われる。

 そのほかにも、軍事産業における協力や、科学分野の研究に関する支援などに関する協定に署名した。

 欧州連合(EU)が求めていた、400人以上の子どもをHIVエイズウイルス)に感染させたとして死刑判決(その後、終身刑減刑)を受けたブルガリア人看護師らの釈放に、リビアが応じたことが、関係改善につながった。

(2007年7月26日11時51分 読売新聞)

仏大統領、リビアカダフィ大佐と会談 覚書調印も

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200707260012.html
2007.07.26
Web posted at: 15:12 JST

  • CNN/REUTERS

トリポリ──フランスのサルコジ大統領は25日、リビアを訪問し、当地でリビアの最高指導者カダフィ大佐と会談した。両国はこの日、原子力事業での協力に関する了解覚書(MOU)に調印した。

サルコジ大統領はカダフィ大佐に、リビアを訪問して「将来のことについて会談するのはうれしい」と述べ、リビアの国際社会復帰を支援したい意向を示した。大統領はまた、フランス企業のリビア事業や両国関係の強化を求めていく姿勢を明らかにした

リビアは24日、400人以上の子どもをエイズウイルス(HIV)に感染させたとして死刑判決を受け、先日終身刑減刑されたブルガリア人看護師5人とパレスチナ人医師1人を釈放し、ブルガリアに引き渡した。釈放交渉にサルコジ大統領のセシリア夫人が貢献したことが、大統領のリビア訪問に道筋をつけた。

リビアのシャルガム対外連絡・国際協力書記(外相)によると、MOUは軍と産業界の連携を盛り込んだ内容という。

リビアは2003年、大量破壊兵器を廃棄し、1988年12月に英スコットランド上空で起きた米パンナム機爆破事件の補償金を支払うことで合意。89年にニジェール上空で発生したUTAフランス機爆破についても、同様の合意を交わした

米国がリビア経済制裁を科していた86年─04年10月、リビアに進出したフランスの石油各社は、競合する米企業の不在で恩恵を受けた。米企業がリビアで事業を再開した現在、リビアは外国投資の獲得と石油輸出の増加を目指し、事業免許の大半を米国や日本、ロシアの企業に与えているサルコジ大統領のリビア訪問の背景には、同国内でフランスの影響力を維持したい思惑がある。