ホルムズ海峡封鎖の対策について調べてみた

河野太郎氏のサイト:政府はホルムズ海峡封鎖の意味がわからない!
http://www.taro.org/2012/05/post-1205.php
を読んだのですが、答えは文章だったようですが誰が書いたんですかね。もうちょっとまともに知りたかったので、調べてみました(最近新聞を読まない事が多くなったのでいちいち調べないと分からないんですorz)。

まず玄葉外相が、サウジとUAEにホルムズ湾を迂回するパイプラインがあるので、原油は確保可能だと答えています。また備蓄もあるし、イランが必ずしも封鎖を選ぶと言い切れないという認識のようです。
2012/02

海峡封鎖でも原油確保可能=玄葉外相
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120224-00000063-jij-pol
 玄葉光一郎外相は24日午前の記者会見で、イランが原油輸送の動脈であるホルムズ海峡を封鎖する構えを見せていることについて「(海峡の内側の)サウジアラビアには紅海に至る迂回(うかい)パイプラインがある。アラブ首長国連邦UAE)も迂回ラインを持っている」と述べ、封鎖されても両国経由で一定の原油は確保できるとの認識を示した。

 外相は「封鎖されても長期戦にはならない」と指摘。日本の石油備蓄は十分で、供給不足になる恐れはないと強調した。また、「(封鎖は)経済的に得策ではない。自分の頭を打つような状況になる」とイランに自制を求めた。

サウジとUAEの件は適当に言っているわけではなくこの前に玄葉外相はサウジとUAEに行っています。

玄葉外相、サウジとUAEに原油供給の拡大要請
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120111-00000031-reut-int


 1月10日、アブダビを訪問中の玄葉光一郎外相は、サウジアラビアアラブ首長国連邦に対し、原油供給の拡大を求めたことを明 らかにした。写真はUAEのアブドラ外相と握手する玄場外相(2012年 ロイター/Jumana El Heloueh)

アブダビ 10日 ロイター] アブダビを訪問中の玄葉光一郎外相は10日、サウジアラビアアラブ首長国連邦(UAE)に対し、原油供給の拡大を求めたことを明らかにした。

欧米の対イラン制裁を踏まえた措置。UAEのアブドラ外相との共同会見で明らかにした。

日本の外務省報道官は具体的な数量についてはコメントを拒否したが、専門家チームが両国を訪問して詳細を協議することを明らかにした。

アブドラ外相は、同国には生産余力があり、日本に優先的に原油を供給する用意があると述べた。

まぁ数字と専門家チームについてはよく分かりませんけどね。

しかしパイプラインで重要なのは、それで何バレル入手可能かということでしょうが、下の記事ではサウジで日量500万バレルだそうです。
2012/06

サウジ、イランのホルムズ海峡閉鎖に備え古いパイプラインをテスト
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120629-00000074-reut-int


6月28日、サウジアラビアは、西側諸国の制裁に絡んでイランが原油輸出の要となるホルムズ海峡封鎖に動く可能性に備え国内の古い原油パイプラインの輸送テストを行い、輸出代替ルートの確保に動いている。写真はホルムズ海峡で行われた軍事訓練に参加するイラン軍兵士。昨年12月撮影(2012年 ロイター/Fars News/Hamed Jafarnejad)

[ドバイ 28日 ロイター] サウジアラビアは、西側諸国の制裁に絡んでイランが原油輸出の要となるホルムズ海峡封鎖に動く可能性に備え国内の古い原油パイプラインの輸送テストを行い、輸出代替ルートの確保に動いている。複数の関係筋がロイターに明らかにした

このパイプラインは、イラン・イラク戦争時にホルムズ海峡を航行中のタンカーが攻撃を受けたため、1980年代にに建設された。イラク向け融資の資金回収のため、サウジは2001年、このパイプラインを接収しており、ここ数年は国内西部にある発電所への天然ガス輸送に使用されていた。

事情に詳しい複数の関係者は、サウジアラビアはここ4─5カ月間、ひそかに原油の輸送テストを行っているとし「原油輸出の代替ルートの確保のため輸送テストが開始された」と述べた。

西側の業界筋によると、紅海に面しているヤンブーにほど近いムアジズの石油貯蓄施設への輸送テストを最低4カ月間行っている。パイプラインの送油能力は日量165万バレル

ペルシャ湾岸からの原油輸出に懸念を持っていたサウジアラビアは、1992年に紅海側へのパイプラインの原油輸送能力を強化した。ペトロラインと呼ばれる2つのパイプラインの送油能力は日量500万バレルに上る。

サウジアラビア原油輸出量は日量で最大800万バレルだが、アジア地域で原油需要が増加し、紅海が輸出拠点となっている欧州向け原油需要が減少したことで、パイプラインは輸送能力の限界まで使用されることはなかった。その後、紅海沿岸の産業活性化などからパイプラインの一部を天然ガス輸送に振り向けていた。

サウジアラビアはここ最近までペルシャ湾からの原油輸出についてリスクは小さいと考えていたほか、西部の天然ガス需要からすべてを原油輸送に切り替えることは検討していなかった。だが、イランの核開発問題に絡む緊張から代替ルート利用に備えることを決めた

東京外語大の翻訳によるとUAEの方は日量150万バレルだそうです。しかもパイプラインを作っていたのは中国。4年前からだそうです。侮れませんね。

アラブ首長国連邦、ホルモズ海峡を迂回するためのパイプライン計画を始動 (Mardomsalari紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20120728_183758.html
2012年07月17日付 Mardomsalari紙

【経済部:シェハーブ・カーシェフィー】アラブ首長国連邦UAE)は昨日、「ハブシャーン=ファジャイラ」パイプライン計画を始動した。この計画は、UAEが自国の輸出用原油を輸送する際に、ホルモズ海峡を迂回し、同海峡を通過する必要性を取り除くことを目的としたものだが、しかしこの計画によって石油タンカーが同海峡を通過する必要性がなくなるのはUAEだけで、その他の国にとっては、同海峡を通過して原油を輸出することに変わりはない。

 UAEの石油当局者やシェル、トタール、エクソン・モービルといった欧米の巨大石油企業の幹部らが見守る中で開通式が行われたこのパイプラインは、総延長370キロメートルで、一日に150万バレル原油を輸送することができる。このパイプラインは、中国企業によって4年間かけて敷設されたもので、イラン産原油に対する禁輸措置が正式に始まり、ホルモズ海峡の封鎖に対するイラン・イスラーム共和国の脅威が高まりつつあるなかで開通した。

 UAE石油相は「ハブシャーン=ファジャイラ」パイプラインの開通式で、このパイプラインの戦略的重要性を強調し、同石油パイプラ
インはUAEに、ホルモズ海峡とパイプラインの二つの選択肢のいずれかを選ぶ力を与えるものであると指摘した。しかし、このパイプラインはありうべき〔イランによる〕ホルモズ海峡封鎖の影響を、目に見えて減殺するだけの能力はない、というのが実際のところである。

 現在、一日に1700万バレルの原油がホルモズ海峡を通過しており、これは世界の全石油の20%が、戦略的重要性を有するこの水路を通っていることを意味している。よって、1700万バレルのうち150万バレルが減ったとしても、それはホルモズ海峡を通過する原油量が10%弱減ったにすぎない

世界は依然としてホルモズ海峡を通過する石油を必要としており、もしUAEがホルモズ海峡を迂回したとしても、イランやクウェートイラクカタールなど、その他の地域諸国が生産・輸送する石油のほぼすべて、そしてサウジアラビアが生産する石油の大部分、さらにはUAEが生産する石油のほぼ半分が、ホルモズ海峡を通過することに変わりはないのである。UAEのプロジェクトが始動しても、ホルモズ海峡の封鎖による影響を減殺する能力はごく限られているということだ。

 もちろん、UAEが計画している同パイプラインの拡充が実現した暁には、地域諸国のホルモズ海峡への依存度は下がるであろう。しか
しそれでも、ホルモズ海峡は自らの戦略的位置を保つであろう。

次に備蓄量ですがhttp://ja.wikipedia.org/wiki/石油備蓄 によると、

2007年2月末現在の備蓄量は民間が国内消費量の83日分、国が94日分を備蓄している。国の備蓄基地は独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が管理している。

後者(国家備蓄)は国が備蓄基地を建設し原油の形で封印保管するもので経済産業大臣の指示のあるときのみ出し入れを行う。

と言う事ですが、実際どれくらい備蓄しているかは、あまり正確には発表してないと思うんですよね。備蓄基地については

北海道石油共同備蓄基地		北海道石油共同備蓄株式会社	350万kL	1982年備蓄開始。
苫小牧東部国家石油備蓄基地	苫東石油備蓄株式会社		640万kL	上記に隣接。
むつ小川原国家石油備蓄基地	むつ小川原石油備蓄株式会社	570万kL
秋田国家石油備蓄基地		秋田石油備蓄株式会社		450万kL	1989年備蓄開始。
久慈国家石油備蓄基地		日本地下石油備蓄株式会社	175万kL
新潟石油共同備蓄基地		新潟石油共同備蓄株式会社	113万kL
福井国家石油備蓄基地		福井石油備蓄株式会社		340万kL	1986年備蓄開始。
菊間国家石油備蓄基地		日本地下石油備蓄株式会社	150万kL
白島国家石油備蓄基地		白島石油備蓄株式会社		560万kL
上五島国家石油備蓄基地		上五島石油備蓄株式会社		440万kL	1988年備蓄開始。
串木野国家石油備蓄基地		日本地下石油備蓄株式会社	175万kL
志布志国家石油備蓄基地		志布志石油備蓄株式会社		500万kL

とありますが、全て株式会社なので国家備蓄じゃ無いんじゃないかとは思うんですが、よく分かりません。

お隣の韓国の報道を見てみましょう。時間的には玄葉外相がサウジとUAEに行った後です。迂回パイプラインは一時的な処理、最悪備蓄を放出、この2点は日本と温度差を感じますね。ただ、『ホルムズ海峡が封鎖される可能性は低い』と考えているのは同じようです。しかし、『韓国の経済成長率は2.8%に低下し、物価は7.1%上昇するとの予想を示した。』というのは日本では見つからなかったので、予想をしていないのかもしれません。

韓国政府、ホルムズ海峡封鎖に備え非常対策取りまとめ
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/13/2012011300687.html

記事入力 : 2012/01/13 08:36

韓国政府、ホルムズ海峡封鎖に備え非常対策取りまとめ

3段階の対策を準備

紅海など代替輸送路についても検討

 韓国政府は、イランが米国による制裁に対抗しホルムズ海峡を封鎖した場合に備え、段階的な危機管理対策をすでに取りまとめていることが分かった。

◆韓国政府、段階的対策をすでに考案済み

 イランがホルムズ海峡を封鎖するという最悪の事態が起きた場合、中東原油への依存度が87%と高い韓国にとっては大きな打撃となる。原油の輸入がストップすれば、ガソリンスタンドや貯蔵施設などの備蓄原油は1週間ほどで底をつくという。現代経済研究院は最近の報告書で、イランによるホルムズ海峡封鎖やそれに伴う武力紛争が長期化した場合、韓国の経済成長率は2.8%に低下し、物価は7.1%上昇するとの予想を示した。

 政府による段階ごとの危機管理対策のうち、最も低いレベルの「注意」では、民間に対して自発的なエネルギー節約を求めると同時に、公共機関についてはエネルギー使用を半分に減らす。その後、状況がさらに悪化した場合には「警戒」に格上げされ、自動車5部制(1と6が付く日はナンバープレートの最後の数字が1と6の車、2と7が付く日は同じく2と7の車の利用を禁止する制度)など、民間に対しては強制的な対策が実施される。

◆最悪の場合は備蓄原油を放出

 ホルムズ海峡の封鎖が長期化する最悪の状況(3段階)となった場合、政府は車の2部制を実施し、民間には配給制の実施も検討している。さらに、現在備蓄されている1億8000万バレルの備蓄分も市場に放出されることになる。これは、エネルギー節約対策と並行して行われた場合には193日分、通常の経済活動では78日分に相当する。

 大統領府の関係者は「備蓄の放出は、原油の輸入がストップするなど最悪の事態が起きた際に行われる。その場合、国際原油価格を引き下げるために、国際エネルギー機関(IEA)が主導し、複数の国が同時に自国の備蓄分を放出するだろう」と述べた。

 政府はまた、原油の輸送ルートをホルムズ海峡を通過するペルシャ湾側から紅海に変更し、サウジアラビアのパイプラインを活用した代替輸送路の確保なども検討している。しかし、パイプラインの容量は1日わずか500万バレルに過ぎない上、距離も長いことから、原油価格の上昇要因として作用する。そのため、業界関係者は「一時的な措置」と話す。

◆ホルムズ海峡が封鎖される可能性は低い

 複数の韓国政府筋は、これらの非常対策が実際に必要となる可能性は低いと予想している。ある政府関係者は「イランがホルムズ海峡を封鎖すれば、サウジアラビアクエートなどほかの産油国による輸出も妨害する結果となるため、国際社会全体を敵に回すことになる。そのため封鎖の可能性は非常に低い」と述べた。

 それでも政府は最悪の事態に対する備えを怠らないために、大統領府を中心に非常対策を取りまとめる作業を進めている。金滉植(キム・ファンシク)首相は12日から18日にかけてオマーンアラブ首長国連邦UAE)を訪問し、安定した原油確保の方法について協議を行う予定だ。このほか、イランへの原油依存度が高い日本と中国も、新たな輸入先の確保に取り組んでいる。日本の玄葉光一郎外相は8日から中東を訪問し、カタールUAEなどから「日本に優先的に原油を供給する」との約束を取り付けた。また、中国の温家宝首相も14日から19日までサウジアラビアUAEカタールを訪問し、中国への供給拡大を求める方針だ。

全洙竜(チョン・スヨン)記者

朝鮮日報朝鮮日報日本語版

しかし、国際原油価格を引き下げるために、国際エネルギー機関(IEA)が主導し、複数の国が同時に自国の備蓄分を放出するというのは知りませんでした。韓国がオマーンに行っているのは負担を分配するためですかね。

また、生産国・産油国約80カ国が集まって、国際エネルギーフォーラムと言うのを開いて話し合っています。日本としては当然増産を要求したのでしょう。産油国の、増産→価格下落を避けたい思惑もあるようですが。
2012/03

日本、産油国に増産要求へ 国際エネルギーフォーラム開幕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120313-00000005-fsi-bus_all

 約80の原油天然ガスの生産国と消費国の閣僚が一堂に会する国際エネルギーフォーラム(IEF)が13日、クウェートで始まった。14日までの日程で、イラン情勢の不安定化を受けた原油価格の高騰への対応策などを協議する。原子力発電所の再稼働が進まず、「原発ゼロ」が近づく日本では、火力発電に使う化石燃料の安定調達が課題となっている。政府はエネルギーの安定調達の重要性を訴えるなどして、生産国から増産などへの動きを引き出したい考えだ。

 IEFにはサウジアラビアクウェートなどの生産国のほか、日本、米国、欧州各国、中国、インドなどの主要な消費国のエネルギー担当相らが参加する。日本からは牧野聖修・経済産業副大臣が出席する。

 原油価格の指標となる米国産標準油種(WTI)はイラン情勢が緊迫化した昨年秋以降、上昇傾向にあり、現在は1バレル=105ドルを超える水準にある。原油の代替である液化天然ガス(LNG)の輸入価格も上昇が続く。

 原発の再稼働が進まずに火力発電への依存度が高まっている日本にとって、化石燃料価格の高騰の影響は大きい。昨年12月の総発電量のうち原油、LNG、石炭を使った発電の比率は約86%で、2010年度の約60%から大きく増えた。化石燃料価格の上昇は電力会社の燃料費を押し上げ、電気料金の値上がりに直結する。

 また原油では輸入元の87%が中東に集中しているという問題もある。イラン情勢が悪化すれば、供給が途絶えることも起こりうるため、資源エネルギー庁幹部は「原油をめぐる状況の悪化は製造業の国外流出に拍車をかける」と指摘する。

 このため日本はIEFで、他の消費国とともに化石燃料の増産や長期的な安定供給の約束を取り付けたい考えだ。しかし生産国には「先進国の金融緩和で生じた資金が化石燃料市場に流れ込んで価格を押し上げている」との見方もあるうえ、増産余力への不安から増産に慎重な声もあり、双方の歩み寄りが実現するかどうかは不透明だ。(小雲規生)

これの結果としてサウジは緊急時の対日支援を確約したそうです。

緊急時の対日支援確約=経産副大臣との会談で―サウジ石油相
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120314-00000017-jij-int

 【クウェート市時事】牧野聖修経済産業副大臣は13日、当地で開催中の国際エネルギーフォーラム(IEF)閣僚会合を前に、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相と会談した。この中で牧野副大臣は、イラン情勢の一段の緊迫化などで日本の原油調達に支障が生じた際の支援を要請。これに対しヌアイミ石油相は「力強く支援する」などと述べ、緊急時の対日支援を確約した。

 さらに同石油相は、世界最大の原油輸出国として、原油価格の安定化に向け責任ある行動を継続していくとの認識を示した。

ついでにアメリカもホルムズ海峡封鎖ではないですが、イラン産原油輸入禁止に対して働きかけているようです。

主要産油国の増産確実に=米財務長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120328-00000003-reut-int

[ワシントン 27日 ロイター] ガイトナー米財務長官は27日、イラン制裁に伴う原油供給への影響緩和に向け、サウジアラビアや他の主要産油国に対し、増産の実施を確実にするよう働きかけていると述べた。

ガイトナー長官は議会の委員会に対し「成長に伴う原油需要増だけでなく、いかなる(原油供給の)障害にも対応できるよう、主要産油国による増産を確実にすることが、われわれが講じ得る最善策だ」と述べた。

サウジアラビアはこれまでに、イラン制裁に伴う原油供給不足を補うため、増産する用意があるとしている。

ただ、「サウジが日本に売るって言ってもその間のホルムズ海峡が通れなかったら意味無いよ」と思う方もいると思うのですが、サウジは沖縄に原油を貯蔵しています。
2012/04

コスモ石油、沖縄基地貯蔵のサウジ原油購入
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120409-00000017-fsi-bus_all
 コスモ石油は9日、サウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコ沖縄石油基地沖縄県うるま市)に貯蔵する原油を購入することを明らかにした。この原油は、緊急時には日本向けに優先供給されることになっているが、輸送費がかさむため国内の石油会社による通常の調達実績はなかった。イランによるホルムズ海峡封鎖懸念が続く中、調達先の分散につながると判断した。

 コスモ石油の年間調達量の1%弱となる20万キロリットルを5月上旬に購入することで合意した。堺製油所(堺市)に海上輸送し、ガソリンなどに精製する。また、原油の国内輸送に関し大型タンカーの利用が認められたことから費用の軽減が見込まれる。

 経済産業省資源エネルギー庁は、国内10カ所の国家備蓄基地に加え、民間石油タンクを借り上げ備蓄体制を強化している沖縄石油基地については2010年12月、借り上げ分のうち60万キロリットル分をサウジアラムコに転貸しする一方、緊急時には日本へ優先供給する契約を結んでいる。

 沖縄に貯蔵する原油は、他の国内石油会社にも購入の動きが広がる可能性がある。

まぁはっきりとは分かりませんが、いざと言うときの前から買っておけば、いざと言う時にそのまま買い続けられるとかそんな計算があるのではないでしょうか。

ちなみにこの貯蔵庫は2009/11から話が進んでいたようです。

サウジ国営石油、沖縄で原油備蓄へ 日本、緊急時に優先調達
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091126AT2M2501Y25112009.html
 世界最大の石油会社であるサウジアラビア国営サウジアラムコのカーリッド・アルファレ社長兼最高経営責任者(CEO)は25日、都内で日本経済新聞のインタビューに応じ、沖縄での原油共同備蓄をめぐって近く日本政府との協議に入る考えを明らかにした。日本にとっては貯蔵設備を貸し出す見返りに緊急時に原油を優先的に調達できるメリットがあり、エネルギー安全保障の強化につながりそうだ。

 日本政府は原油の安定確保をにらみ、サウジ側に沖縄にある原油の貯蔵設備を使った「共同備蓄」を提案していた。CEOは貯蔵設備の利用について「経済産業省と協議後、近い時期に公表する」と表明。中国などアジアで石油需要が急速に増えていると指摘したうえで設備利用で「アジアの消費者の利便性が向上する」と述べた。開始時期など詳細については言及を避けた

あと、国際エネルギーフォーラム以降イラク原油輸出ルートを確保に動いているらしいです。

イラク、ホルムズ海峡封鎖に備え原油輸出ルート確保へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120319-00000037-reut-int

バグダッド 18日 ロイター] イラクはイランによりホルムズ海峡が封鎖される事態となった場合の原油輸出経路を確保するため、イラク北部の送油ルートの輸送能力を拡大し、また南部油田からトルコのジェイハンに至るルートなどにパイプラインを整備する危機管理計画を承認した。イラク政府のAli al-Dabbagh報道官が18日に明らかにした。

ホルムズ海峡は国際原油輸送の要衝であり、現状でイランが封鎖に踏み切った場合、イラクが輸出する原油の約80%に影響が及ぶことになる。

同報道官は「中・短期的な計画としては、原油生産を強化しトルコのジェイハン港経由ルートからの輸出のキャパシティーを拡大する。あわせて、原油輸送トラックの台数も増加するつもりだ」と説明した。

その上で、イラクはホルムズ海峡が封鎖される事態の回避に向け、イランと米国に対する説得にもさらに力を注ぐと述べた。

またイランだけでなくクウェートもイランとの対話に動いて、ホルムズ海峡を封鎖しないと確約を得たと言っています。

イラン、ホルムズ海峡を封鎖しないと約束―クウェート首長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120321-00000013-reut-int

[ドバイ 20日 ロイター] 国営クウェート通信(KUNA)が20日報じたところによると、クウェートのサバハ首長は、イランがホルムズ海峡を封鎖しないと約束したことを明らかにした

KUNAが配布した英語版原稿によると、来日中のサバハ首長は「イランがホルムズ海峡閉鎖に向けた行動をとらないことを確実にするために、同国の当局者に連絡をとった。そうした行動はとらないとの確約をイラン側から得た」と述べた。

まぁ日本とイランのやり取りも書きたいのですが、長くなってきたのでそれはまた後で。