アルジェリア人質事件。アルジェリアに平和が訪れるのはいつ?。

どうもです。この件書こうと思ったのですが、アルジェリアで日本人が武装勢力に拉致されたと聞いただけで、ずーんと沈んでしまいました。

アルジェリアでは4,5年前にこのようなエントリを書きました。アルジャジーラ、アルジェリアの爆弾テロ映像を放送

まぁ10年以上前には90年代最悪といわれるほどテロが起こっていたわけです。とは言え今回の武装勢力の構成はアルジェリア人質事件で首相が会見、「外国人37人死亡」
によると

武装勢力側はチュニジア人が11人、アルジェリア人が3人、残りはカナダ人、エジプト人、マリ人、ナイジェリア人、モーリタニア人だったという。

の計19人との事だったのでアルジェリアの歴史にこだわる必要はないのかもしれません。また武装勢力側の発表では
40人だけで施設攻略、90%成功…武装勢力側
と40人と言っておりますので、構成員の比率が大きく変わる可能性もありますが。ともあれこの記事の内容ですが、

「800人の兵士が守る戦略上の重要施設を仲間40人だけで攻略した」として、「90%成功だった」と述べた 武装勢力側は、同国軍が最初の攻撃を開始する前の17日朝、有力者を仲介者にフランス当局と接触し、交渉開始を要求した。仏軍によるマリ北部でのイスラム勢力への攻撃停止に加え、米国で1993年の世界貿易センタービル爆破事件をめぐって収監されているイスラム主義指導者オマル・アブデルラハマン師らの釈放を求めたという

800人の兵士に40人で挑むというのも、普通で行ったら無理でしょう。やはり内部に協力者がいたという考えが広がっているようです(長文の記事から適当に抜き出しました)。
焦点:アルジェリア人質事件、襲撃指揮に「謎のカナダ人」

侵入困難なはずの居住区域にも容易に入れたことは、施設内に武装勢力の協力者がいたことを示すとの考えが現地では広がっている。

17日に殺害されたターヘル・ベンシェネブ容疑者など武装グループのリーダーたちは、石油関連施設での給料が良い仕事は外国人や北部出身者で占められているとし、南部で住民の不満をあおってきた。

イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の元幹部、モフタール・ベルモフタール司令官の支持者らと合流して襲撃を実行した

あるアルジェリア人労働者によると、武装勢力は「キリスト教徒と異教徒」の殺害にしか興味がないと語ったという

アルジェリアとの難しい関係を長年続けてきた欧米諸国は、自国民の安否に関する正確な情報が得られないことに業を煮やしていた。19日朝にアルジェリア軍が最後の攻撃を開始したときも、欧米諸国は何も知らないようだった。

アルジェリアの国営通信によると、同国軍兵士は、外国人の人質7人を処刑した武装勢力メンバー11人を殺害。当局は作戦が終了したと宣言したものの、掃討はその後数時間も続き、さらに数十人の遺体が発見されるなど、答えを必要とする多くの謎が今なお残されている

一個ずつ見ていくと一番目は憶測ではありますが、もう少し根拠がありそうな記事だと<アルジェリア拘束>人質ごと車を爆撃…救出作戦

 武装勢力は内部構造を熟知しており、治安当局は従業員らに内通者がいたとみている。地元メディアによると、武装勢力が所持していたとみられる複数の地図が回収されている。

これはアルジェリアの時間を追った公式発表の一部です。まぁ順に見ていくと妙に感じるところもあるのですが、先に行きます。

次の二つの段落はこの人質事件がフランスのマリ爆撃への復讐と銘打たれていますが、それほど急に計画した物ではなく、随分前から作戦を練っていた事をうかがわせます。

アルジェリア首相も同じ考えのようです。
外国人犠牲者は8か国37人…アルジェリア首相

 犯行について首相は、「2か月以上前から計画されていた」との見方を示した上で、武装勢力は「施設を詳しく知っていた爆弾の専門家もおり、施設の至る所に爆弾を仕掛けた」と説明。事件発生翌日の17日に軍事作戦を強行した理由については、「武装勢力が人質とともにマリに逃げようとした」ためだとした。「車に3〜4人の外国人を乗せ、爆発物も積んでいた。軍はヘリコプターを使い、阻止した」と、その正当性を強調した。

武装勢力は「キリスト教徒と異教徒」の殺害にしか興味がないと語ったという』『爆弾の専門家もおり、施設の至る所に爆弾を仕掛けた』は矛盾しますが、たった40人で目的が共有されてないというのも変な感じがしますが、アルジェリア人労働者の殺害には興味がないという事で言ったのかもしれませんね。

まぁアルジェリアとの難しい関係を長年続けてきた欧米諸国』というのは、最初のリンクのアルジャジーラ、アルジェリアの爆弾テロ映像を放送当たりから推測できる気もしますが、はっきりとは分かりません。

ただ『17日に軍事作戦を強行した理由については、「武装勢力が人質とともにマリに逃げようとした」ため』というのは人質の命より、武装勢力を殺す事が大事だったと読めなくないです。『爆弾の専門家もおり、施設の至る所に爆弾を仕掛けた』と書いてあるのに大規模な破壊は報道されていない事も人命より施設が大事だったと読めなくありません。その上今回事件が起こった場所は、イナメナスという地区でリビアとの国境にちかく(80km程と書いてある新聞もありました)、アルジェリア南西のマリからは相当遠く見えます。まぁ十分な追跡部隊が編成できず仕方なかったと考えられなくもありませんが。

結局作戦強行はこの失点を取り戻そうとしたのでしょうか。かえって各国から非難が出てますが。
作戦強行を非難 アルジェリア人質事件で米欧メディア

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)英国版もトップ記事で「武装勢力への攻撃についてアルジェリア政府軍からの事前連絡はなかった」とする英政府関係者の情報を伝えた。
[...]
 オーストリアのメディアは、スピンデレッガー外相が18日「アルジェリア政府からの情報が少なすぎる」と不満を漏らしたことを取
り上げた。オーストリア人の人質は無事が確認されたが、作戦の詳細はオーストリア政府も知らなかったようだ。

 人質救出を狙ったと主張するアルジェリア政府の作戦そのものへの批判は少ないが、情報伝達が遅れたことと「単独の判断」を不満
とする声が強い。「アルジェリアは外国の影響力を恐れている」(南ドイツ新聞)という解説もある。
[...]
米国でも主要各紙が18日、事件を大きく取り上げた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は1面に「救出へ奇襲で犠牲者 アルジェリアの人質救出作戦、米英に衝撃」との見出しで事実関係を紹介。アルジェリア軍が関係国に事前に警告することなく攻撃を仕掛けたことへの驚きを伝えた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は米国への事前の相談がなかったことを踏まえ、テロ対策などでの「アルジェリア政府の協力の限界が浮き彫りになった」との分析記事を掲載した。事件を機に「米国は内向き志向を考え直すべきだ」(マイアミ・ヘラルド紙のコラムニスト)と唱える論調もあった。

と各国不満が多いようです。

その中でフランスは

 仏紙ルモンド(電子版)は18日「フランスのマリへの軍事介入が、この事件を起こしたと考えるのは間違いだ」との社説を掲載。武装勢力は実際は隣国リビアから来たことが分かり、計画も長時間かけて準備されたことが明白だからだと説明した。

まぁ位置的にリビアから来たというのは納得できます。では本当にマリに逃げようとしたのか。一応マリ北部をアルカイダ系が支配しているからでしょうか。

一応謎も残しつつここでアップします。