マリをフランス軍が空爆しました。
まぁアフリカ情勢の情報は日本語では手に入りにくいと知りつつ書くという。
2013.1.12 09:06
フランスのファビウス外相は11日、暫定政府とイスラム過激派の戦闘が激化している西アフリカのマリで、過激派の攻勢を阻止するためフランス軍が空爆を実施したことを明らかにした。マリからの報道によると、トラオレ暫定大統領は同日、全土に非常事態を宣言した。
マリでは過激派が北部を制圧。暫定政府の統治は南部に限られ、国土が事実上南北に分断されている。旧宗主国のフランスはマリと関係が深く、オランド大統領は暫定政府の要請に基づき介入したと説明。西アフリカ諸国の支援も得た上で介入は「必要な期間続く」と述べた。今回の空爆の規模など詳細は不明。
マリ情勢の混迷を受け、国連安全保障理事会は昨年12月、国際部隊による軍事介入を認める決議を採択したばかり。オランド氏は「安保理決議の枠内」で行動するとの方針を示しており、12月の決議を介入正当化のよりどころとしている。
(共同)
まぁまずは国連安保理決議について見てみましょうか。
マリへの部隊派遣を承認=アフリカ主導、過激派駆逐を支援―安保理(時事通信)
【ニューヨーク時事】国連安保理は20日、アフリカ西部マリの北部を掌握したイスラム過激派の駆逐で同国政府を支援するため、周
辺国を中心とした軍部隊派遣を承認する決議案を全会一致で採択した。駆逐に向けた軍事行動の開始は2013年9月以降になるとみられている。派遣が承認されたのは「アフリカ主導国際マリ支援団(AFISMA)」で、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が3300人規模の部隊を送る方針を表明済み。
欧州諸国などと連携し、マリ軍兵士の教育や作戦の支援を行う。1年間が当面の派遣期間となる。
2013年9月以降と見られた軍事行動の開始は大幅にはやまったという事ですね。他の記事によるとフランスは今まで軍事行動に慎重、もしくは否定的だったというような記述もありました(たとえば朝日新聞、CNN日本語版)。
本当の国連の情報はここのようです(英語。読んでません)UN Security Council authorizes African-led intervention force in Mali。
新聞&ブログサーチでAFISMAを検索しても殆ど引っかかりません。
大きな出来事というと安保理決議の10日ほど前に、こんな事がおこっています。
2012.12.11 17:04
西アフリカ・マリからの報道によると、同国軍兵士が10日夜、ディアラ暫定政府首相の身柄を拘束。ディアラ氏は11日未明、国
営テレビを通じ暫定政府の総辞職を表明した。拘束は3月に首都バマコで起きた反乱軍のクーデターを主導したサノゴ大尉の指示という。マリではクーデター後、イスラム過激派らが北部を制圧し、国土は事実上、南北に二分された。南部側では4月に議会議長だったト
ラオレ氏が暫定大統領に就任し暫定政府が発足したが、今回の事態でマリ情勢はさらに混迷が深まった。軍側は、ディアラ氏と、軍やトラオレ氏との間の政治的な対立を拘束理由に挙げた。マリの過激派掃討を目的とする西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の軍事介入計画にも影響を及ぼす恐れ
がありそうだ。軍関係者はロイター通信に対し、「暫定大統領はその地位にとどまっており、クーデターではない」と述べた。(共同)
決議後のフランスの心変わりの原因は何だろうと考えても、それがわかるほどの情報は見つかりませんでした。
ただマリの情勢も非常に込み入っています。そこら辺がわかりやすい記事。地図はがっかりするような出来ですがw
<マリ>過激派分裂の可能性 一部が政府と交渉の構え(毎日新聞)
イスラム過激派支配地域【ヨハネスブルク服部正法】イスラム過激派掃討のため国連安全保障理事会が周辺国の軍事介入を認めた西アフリカ・マリで、過激派の一部に軟化姿勢が見えてきた。マリの遊牧民主体の過激派「アンサル・ディーン」はマリ政府との交渉に応じる構えをみせ、敵対してきた遊牧民主体の世俗主義反政府組織との和解にも合意した。過激派が地元マリ人勢力と国際テロ組織アルカイダ系の外国勢力に分裂する可能性も出てきた。
マリでは昨年3月に起きた軍事クーデターに乗じ、北部の遊牧民トゥアレグ人の世俗主義反政府組織「アザワド解放民族運動(MNLA)」とトゥアレグ人主体のイスラム過激派アンサル・ディーンが連携して4月に北部を制圧。アンサル・ディーンはアルカイダの北アフリカ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」などと協力し、MNLAを北部の都市部から放逐し、過激派による支配を固めた。多数の外国人戦闘員が流入し、シャリア(イスラム法)に基づく統治が進んでいる。
マリ北部がアルカイダの温床になることを懸念した周辺国グループ「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」は軍事介入を計画し、安保理は先月20日、3300人規模の部隊派遣を承認。軍事行動は今秋以降に始まる見通しだ。
軍事介入圧力を高める一方、周辺国はアンサル・ディーンに対し、政府と交渉し、アルカイダと関係を断絶するよう呼び掛けた。隣国ブルキナファソの仲介による先月4日の会合ではマリ政府、アンサル・ディーン、MNLAの代表が国家分裂を防ぐことで一致。21日には隣国アルジェリアでの会合でアンサル・ディーンとMNLAが対立関係の解消などで合意した。交渉開始以降、アンサル・ディーン側からは、アルカイダとの一体化を否定する発言が出ている。
マリの首都バマコの複数の情報筋によると、アンサル・ディーンの指導者イヤド・アグガリ氏がイスラム過激思想を持ったのは近年で、目的はトゥアレグ人社会や出身地の北部キダル地域での覇権にとどまり、国境を超えた「聖戦」を目指すAQIMとは方向性が異なるという。
マリ政府とアザワド解放民族運動(MNLA)とアンサル・ディーンと「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)が入り乱れているようですね。しかもこのトゥアレグ族(MNLAとアンサル・ディーン)というのはリビアにもいて(Wikipedia(トゥアレグ族)による)カダフィ側として武器を受け取って、それがマリの混乱をあおったと言う記事もあります。
2011/03
中東
【カイロ=加藤賢治】リビアの最高指導者カダフィ氏が徴集した数千人規模とされる雇い兵のうち、約800人はアフリカのニジェールとマリのサハラ砂漠一帯に住む遊牧民トゥアレグ族であると両国の治安当局者が3日明らかにした。AFP通信が伝えた。
マリの首都バマコにあるリビア系のホテルには雇い兵募集用の事務所が設けられ、現在もリビアの外交官が徴兵活動に当たっている模様だ。雇い兵徴集はマリとニジェールのほか、アルジェリアやブルキナファソでも行われているという。
マリ北部の自治体関係者は、「(雇い兵は)チャドから空路リビアに入るか、陸路でリビア南部に向かっているようだ」と話す。
トゥアレグ族はマリやニジェールでは少数派で、独立や自治を求める反政府武装活動を展開している。こうした運動に携わる組織のメンバーの中から、リビアに向かう者が出ているという。人権団体「リビア人権連盟」によると、カダフィ氏の雇い兵には、屈強さなどにより最大2000ドル(約16万4000円)の日当が支払われている。
(2011年3月4日22時26分 読売新聞)
興味ある人は全文は他で探してほしいのですが、以下のような記述もあります。
バニワリード無血開城へ ニジェール外相「カダフィ氏いない」(産経新聞)
カダフィ氏に近いトゥアレグ族が車列の移動を手助けした
2012/03
<マリ>反政府武装組織、キダルを制圧 長期化の恐れも
西アフリカのマリで反政府武装組織が制圧したキダル【ヨハネスブルク服部正法】軍事クーデターが起きた西アフリカのマリで、政情不安に乗じて反政府武装組織が北部で攻勢を強め、3月30日、拠点都市であるキダルを制圧した。リビアのカダフィ政権が崩壊した後、雇い兵と武器がリビアから流入したことで反政府組織側は勢いづいており、混乱が長期化する恐れも出てきた。
サノゴ大尉率いる国軍反乱軍が3月21日に蜂起し、トゥーレ大統領が政権を追われた。背景には、反政府武装組織の封じ込めで効果的な手を打ち出せないトゥーレ政権への国軍内部の不満があった。北部の分離独立を求める遊牧民トゥアレグ人の武装組織「アザワド解放民族運動(MNLA)」がキダルへ進軍したのはクーデターの混乱を利用した形だ。
リビアでは多数のトゥアレグ人がカダフィ大佐の外国人雇い兵集団に参加したが、政権崩壊後に脱出した。元雇い兵と武器が流れ込んだMNLAは今年1月以降、国軍と本格的な交戦を繰り広げてきた。AFP通信はキダル制圧ではトゥアレグ人のイスラム過激派組織がMNLAと連携していると伝えている。
マリやニジェールでは国際テロ組織アルカイダの北アフリカ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」などのイスラム過激派組織が勢力を伸ばしており、マリの混乱が長引けば一帯の不安定化につながる可能性もある。
まぁ結局のところは英語で情報を追っている人が強いです。
空野雑報さん
Mali事情:Tuareg勢力とAnsar DineはMaliの統一を支持する
が続きを書いてくれることを待ちましょう。
と思ったら続きありました。
2013/01/08
マリ事情:イスラミストがなんか南下の試みしてるっぽいに対応して待ったなしになってしまったようですね。といっても安保理決議で追い詰めたのが先じゃないかともいえますが。